大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

京都地方裁判所 昭和52年(手ワ)613号 判決

主文

被告は原告に対し、金一五〇万円及びこれに対する昭和五二年一一月三〇日以降完済まで年六分の割合による金員を支払え。

訴訟費用は被告の負担とする。

この判決は仮に執行することができる。

事実

原告は主文と同旨の判決を求め、その請求の原因として、次のとおり述べた。

「一 原告は、別紙約束手形目録記載の約束手形一通を所持している。

二 被告は右手形を振出した。

三 右手形の受取人訴外今村栄三は、右手形を満期に支払場所に呈示して支払を求めたが、支払を拒絶された。

四 原告は、右今村からの裏書により右手形を取得した。

五 よつて、被告に対し、右手形金及びこれに対する満期以降完済まで手形法所定年六分の割合による利息金の支払を求める。」

被告訴訟代理人は、「原告の請求を棄却する。訴訟費用は原告の負担とする。」との判決を求め、「請求原因二項及び三項の事実は認める。同一項及び四項の事実は不知。」と述べ、抗弁として次のとおり述べた。

「一 被告は、昭和四九年七月二九日訴外今村栄三から、金二〇〇万円を、利息月五分の約定で弁済期の定めなく借受け、三か月分の利息三〇万円を天引きされて、金一七〇万円を受取つたが、その際、右債務の担保として、金額二〇〇万円、満期同年一〇月二四日なる約束手形一通を差入れた。

二 その後原告は右今村に対し、右借受金に対する利息として、同年七月以降昭和五一年八月まで毎月一〇万円宛合計二三〇万円を支払い、かつ、元本の返済として、同年一月三一日に五〇万円、同年八月二日に八万円、同月一一日に三万円をそれぞれ支払つた。

三 前記各支払金額中、利息制限法による制限利息を超える部分を順次残元本に充当して計算すれば、昭和五一年六月二〇日の支払をもつて元本は消滅し、かえつて最終の支払により八九万三三七円の超過払となる。

四 ところが、原告は昭和五二年八月二日現在の残元本がなお一五〇万円存在すると称し、右債務担保のため手形の差入れを求めたので、被告はこれに応じて本件手形を振出したものである。

五 右のとおり、本件手形はその原因関係を欠くから、被告に右手形金支払の義務はない。」

原告は、右抗弁事実はすべて不知と述べた。

立証(省略)

理由

請求原因二及び三の事実は当事者間に争いがなく、成立に争いのない甲一号証の存在及びその記載に弁論の全趣旨を総合すると、請求原因一及び四の事実が認められ、これに反する証拠はない。

被告の抗弁事実は、未だこれを認めるに足る証拠がない。

右によれば、原告の本訴請求は理由があるからこれを認容し、訴訟費用の負担につき民事訴訟法八九条、仮執行の宣言につき同法一九六条を各適用して、主文のとおり判決する。

(別紙)

約束手形目録

金額        一五〇万円

満期        昭和五二年一一月三〇日

支払地及び振出地  京都市

支払場所      朝銀京都信用組合西陣支店

振出日       昭和五二年八月二日

振出人       金泰成

受取人       今村栄三

第一裏書人     右同(被裏書人渡辺清)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例